こんにちは、mizuno_asです。
オープンソースカンファレンス2015北海道の弊社セミナーをご覧になった方はご存知だと思いますが、筆者は関東出身、関西在住で、北海道とは縁もゆかりもない人生を送ってきました。はじめて北海道に上陸したのは7年前。東京からふらっと自分の車で遊びに来た時でした。しかしそこで北海道の魅力に目覚めてしまい、昨年にはついうっかり転職、引越しをやらかしてしまったというわけです。
筆者が北海道好きになるきっかけとなった街が、北海道の玄関口でもある函館でした。
北海道函館市。面積は677.83平方キロメートル、人口は269,079人(2015年9月末)。渡島半島の南東部に位置し、東、南、北の三方を太平洋と津軽海峡に囲まれた海の街です。ちなみに市の木はイチイ、市の花はツツジ、市の鳥はヤマガラ、市の魚はイカ。イカってなんだよ、魚類じゃないじゃん、頭足類じゃん! とお怒りの方もいらっしゃるかもしれません。でもいいんです。だって広島県の魚はカキなんですもの。
さて。そんなわけで今回は、新幹線の開通で首都圏からもぐっと身近になる(と思う)函館の、あまりガイドブックには出てこない見所を紹介しようと思います ((先日遊びに行ってきたので自慢したいだけ、とも言えます。)) 。
函館まちあるきマップとは
函館まちあるきが配布している、「まち」「歴史」「ひと」といったテーマに沿った26種類の観光ガイドマップ。それが「函館まちあるきマップ」です。これらは市内の観光案内所の他、Webでも入手することができます。函館ははじめて、という方はぜひ一度このマップに目を通してみることをお勧めします。しかしこのマップ、とてもよい出来ではあるものの、なぜかPDF版は表面と裏面が別ファイルになっているという謎仕様のため、非常に見づらいのが正直な感想です。そこでPDFを結合してひとつのファイルにしてしまいましょう。まずはpoppler-utilsパッケージをインストールします ((Ubuntuのデスクトップ版であれば、おそらくデフォルトでインストールされています。)) 。
$ sudo apt-get install poppler-utils
続いてpdfuniteコマンドの引数に、結合するPDFと、結合後のファイル名を列挙して実行します。
$ pdfunite map01_1.pdf map01_2.pdf map01.pdf
これで複数ページのPDFファイルとして結合できました。便利ですね!
と、申し訳程度にIT技術っぽい話をしたところで、マップを片手に函館の街を歩いてみることにしましょう。
函館山のもうひとつの顔に触れる
函館といえば、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンにて三つ星として紹介されもした、函館山からの眺望をまず思い浮かべるのではないでしょうか。山頂の展望台まで登る手段はロープウェイ、バス、タクシー、マイカー、徒歩と多岐にわたりますが、毎年10月から11月にかけて、ロープウェイはメンテナンスのため営業を停止しているので気をつけてください。また平日は登山バスの昼便が存在しないため ((さらに16時以降はマイカー登山も規制されます。注意しましょう。)) 日中に山頂へ行こうと思うなら、それなりの手段と滞在時間を検討する必要があります。今回筆者はレンタカーで登山し、16時前に下山するプランを選択しました。
山頂駅に到着すると大抵の人は階段を登って展望台へ向かうわけですが、今回は企画の主旨的に敢えて逆方向へ向かってみます。ロープウェイ乗り場から左手に出ると、少し小さめの展望台があります。
そしてその奥にはこんなものが。
あまり知られていないかもしれませんが、かつて函館山には旧帝国陸軍の要塞が存在していました。函館要塞は津軽海峡の防衛強化をねらいとして、明治35年に完成したそうです。夜景を見る観光客でにぎわうこの山頂展望台も、実は御殿山第一砲台と呼ばれる砲台跡の上に建設されており、現在でも地下には軍の遺構がそのまま残されています。残念ながら御殿山第一砲台跡は立入禁止のため、こうしてフェンスの隙間から中を窺うことしかできません。しかし函館山山中には他にも多くの遺構が残されており、そのうちのいくつかは実際に見学することが可能です。山頂から近いのは御殿山第二砲台跡と、薬師山砲台跡でしょうか。今回は駐車場から徒歩2分の御殿山第二砲台に行ってみました。
広場には丸く砲座の跡が残っています。御殿山第二砲台には計6門の対艦用28cm榴弾砲が設置されていたそうです。
ちなみにここから1時間ほど山道を歩くと ((山道とはいえ車が通行できる道なので、歩くのはそれほど苦ではありません。)) 、千畳敷砲台と千畳敷戦闘指揮所跡にたどり着きます。今回もそこまで歩く予定だったのですが、あいにくの雨で中止とあいなりました。また来年挑戦しようと思います。
函館山の散策にはまちあるきマップ19番の他に、函館市公式観光情報が公開している要塞跡散策マップ(PDF)も参考になります。夜景だけでなく、北海道遺産にも選定されている函館山砲台跡を巡ってみるのも面白いですよ。
元町を散策してみよう
ここまで書いて、ひょっとして世間の人が求めている函館ガイドとかけ離れたものを書いてしまっているんじゃないかと、ちょっと不安になってきました。いや、きっと筆者と同じような趣味の人がいるはず……と信じましょう。
元町の教会群から元町公園までも、筆者のお気に入りスポットのひとつです。函館山から下山したらFMいるかのスタジオを右手に見つつ、教会を見学に行くのが定番のコースでしょう。教会群の中でも一番目を惹くのがハリストス正教会ですね。函館ハリストス正教会は、日本正教会で初の聖堂を持つ教会で、渡航前の新島襄が下宿していたことでも有名です。尖塔にある鐘の音は環境庁の残したい日本の音風景100選にも選ばれているのですが、実は現在の鐘は三代目。初代は焼失、先代の鐘は現在、東京神田のニコライ堂にあるようです。
元町公園と旧公会堂も定番スポットです。公会堂の2階のテラスからの眺望は、函館山とはまた違った魅力があります。晴れた朝には駒ヶ岳も見えますので、ぜひ一度ご覧ください。元町公園内にも色々な施設があるのですが、その中でも筆者のイチオシは旧開拓史函館支庁書籍庫です。
見所はレンガの積み方。よく見ると書庫本体はフランス積みなのに、入口のまわりだけイギリス積みなんですよ。日本においては、イギリス積みはフランス積みよりも時代的に後に採用されたため、入口付近が後から増築されたことがよくわかりますよね。
書籍庫のすぐ向かいにあるのが、明治42年に建設された旧北海道庁函館支庁庁舎です。現在は観光案内所兼函館市写真歴史館として営業中。古いカメラや撮影機器が沢山展示されているので、写真好きにはマストです。
修道院を見学しよう
函館駅から函館湾をぐるっと一回りした対岸、渡島当別にあるのが、あのバターのパッケージで有名なトラピスト修道院です。市内からは車でもJRでも45分程度と少々距離がある上、市内と異なり周囲に他の観光施設が少ないことから、訪れる人も少ない穴場です。修道院前の坂には遅咲きの桜が植えられているので、毎年5月には緑の牧草地と桜色のコントラストが楽しめるお花見スポットでもあります。ちなみにJRの時刻表はこんな感じで非常に風通しがよいため、レンタカーの利用を強くオススメします ((筆者は冬季に2回ほどJRで行ったことがありますが、雪に埋もれたローカル線の駅でストーブにあたりながら電車を2時間待つのが楽しいという鉄の旅好きな方以外には本当におすすめしません。)) 。
ここまでなら車で行ったことがある、という方もいるかもしれません。しかし今回の筆者の目的は、ここからさらに先の山の中にあるルルドの洞窟です。ルルドというのは、聖母マリアが人々の前に現れたとされるカトリックの巡礼地のことですよね。トラピスト修道院の裏手にもこの地を再現した洞窟があり、マリア像が祀られているのです。山の上にあることもあり、天気がよければ津軽海峡を一望できるスポットです。
修道院前の駐車場から歩くと結構な距離があるのですが、実は修道院の裏手にも別の駐車場があり、そこまでは車で登れることを筆者は知っています。これにより10分以上の短縮が可能なのですが、念の為裏手に駐車してよいか、売店のおばちゃんに確認しておくことにしました。
筆者「ルルドに行きたいんですけど、裏の駐車場に車止めていいですか?」
おばちゃん「いいですよー。そこの坂を登ったら右に曲がって、塀沿いに進んでください。いま地図をお渡ししますね」
どうもありがとう、と地図を受け取り一礼して車に戻ろうとしたところ
おばちゃん「熊の季節だから気をつけてくださいね。修道院でも二週間くらい前に熊を見てますので」
超なんだと?
通常、修道院の中に入ることはできません。しかし実は、事前に申し込みをしておけば内部を見学することができるんです。とはいえ申し込みは往復ハガキのみ、見学は月曜午後2時から、女子は立ち入り禁止、とかなり難易度の高い設定になっています。それでも是非、という男性諸氏は申し込んでみてもよいかもしれませんね。筆者も一度くらいは、と考えています。
函館のお酒をたしなもう
酒なくてなんの己が桜かな、というわけではありませんが、ハレ(非日常)の場にはお酒がつきものですよね。旅行はもっとも身近な非日常ですから、ここには日本人の世界観として、当然酒がなくては成り立ちません。
函館には函館山の地下水から醸造された、はこだてビールという地ビールが存在します。ベイエリアのはずれにビアレストランが営業中で、筆者は函館滞在中に一度は食事に行くことにしています。
なにより店内が広くて落ち着くので、ゆっくり食事をするにはおすすめです ((完全禁煙も筆者には嬉しいところです。))。夜にはピアノ生演奏のステージもあったりします。
実はこのレストラン、2011年の5月にメニューを大幅に変更しています。昔はエビとイカのすり身をスライスパンに乗せて油で揚げたここだけのオリジナルメニュー、その名も「ダブルパンチまさる」という料理が存在し、筆者のお気に入りだったのですが、そのまさるもメニュー改訂時になくなってしまいました。理由を聞いてみたところ
筆者「ダブルパンチまさる、なんでなくなってしまったんですか?」
お店の方「製造していた工場がなくなってしまって……」
諸行無常。
なにがダブルパンチで、まさるとは一体誰なのか。結局わからず終いでしたが、できることなら復活して欲しいものです。
函館のお酒といえば、地ビールだけではありません。なんとワインの醸造所もあるんです。現在建設中の新幹線「新函館北斗駅」からそれほど遠くない ((つまり市内からは結構遠い。)) 七飯町にあるはこだてわいんでは、余市をはじめとした道産の葡萄を原料とした様々なワインを販売中です。
直営店の葡萄館では10種類以上のワインが試飲できるほか、七飯名物ワインソフトクリームも販売しています ((アルコール度数0.5%未満なのでお子様も安心です。)) 。またベイエリアのはこだて明治館にも直営2号店がありますので、七飯まで行けない人はそちらもご利用ください。
おわりに
こんな魅力たっぷりの北海道へIターンしてみたい、インフィニットループではそんなエンジニアを、そして筆者は同類を募集中です。
- やきとりは豚肉じゃないとおかしい
- イカは朝ごはん
- じゃがバターはイカの塩辛をトッピングしないと気が済まない
そんな人は今すぐ採用ページへGo!