インフィニットループ 広報ブログ

2023年12月27日 (水)

著者 : akanuma

フリーランスから会社員へ。突然届いた1通のDMを転機にUnityでVRロボットゲーム開発

MさんProfile

入社年2022年
デザイナー歴約5年
プログラマ歴約3年
前職の業界フィギュア/ゲームモデリング→フリーランス
前職の職種3DCGデザイナー
使用言語・使用技術などMaya/Unity/C#/SubstancePainter等
現在の職種xRエンジニア・3Dテクニカルデザイナー
拠点札幌
出身兵庫県(兵庫→東京→札幌)

VRロボットバトルゲームをUnityで開発する仕事

作業環境

現在の仕事内容を教えてください。

現在は私はUnityを使用して、VRヘッドセットMetaQuest2向けのゲーム、QuantanoID(クオンタノイド)の開発を進めています。

ーーQuantanoIDはどのようなゲームですか?

プレイヤーが物語の主人公として、ロボットを操縦し戦闘を繰り広げるVRロボットバトルゲームで、VRゴーグルを使って、まるで実際にコックピットに座っているかのような没入感と操縦のリアリティを体験していただけます。

quantanoid
ーー具体的にはどの部分を担当しているんですか?

協業パートナーである株式会社Gugenka(以下、Gugenka)より3Dモデルや音声などの素材データをお渡しいただき、それらをUnity上でゲーム上で扱えるようにセットアップしたり、プログラミングを行うなどゲーム制作に関わる範囲の開発を担当しております。

プロジェクトはGugenkaを含む外部クリエイターと協力し、総勢約10名で進めており、私はインフィニットループからの唯一の参加者です。

QuantanoIDで東京ゲームショウ2023に出展

QuantanoIDはすでにリリースしているゲームですか?

現在、2024年のリリースに向けて開発を進行中ですが(注・2023年10月取材時点)、東京ゲームショウ2023に出展し、来場者に先行体験していただきました。

QuantanoIDで東京ゲームショウ2023に出展
ーーそうでしたか!どのような反応でしたか!?

予想を超える来場者に2日間の整理券が瞬く間に配布終了し、私たちもその人気に驚きました。 ブースはかなり盛況で忙しく、SNSでは「発売したら絶対買う」のような投稿など、好評な反応をいただきました。開発者冥利に尽きる嬉しい気持ちになるイベント出展になりましたね。

ーーそれは嬉しいですね!入社以来ずっとVRゲーム開発の仕事をされているんですか?

そうではないんですよ。QuantanoIDの担当期間は昨年の12月から約1年です。以前は何をしていたかというと……まず入社後の約半年間は株式会社バーチャルキャスト(以下、バーチャルキャスト)に出向し、3Dモデルを作成していました。次はインフィニットループ内のVRチームで約半年間、グラフィックを向上させる技術調査を行いました。

その後、Twitter(現・X)で私宛に1通のDM(ダイレクトメッセージ)が転機となり、このVRロボットゲーム、QuantanoIDのUnity開発に携わることになりました。

DMで「VRのゲームを作りませんか?」と連絡が届きました

どのようなDMだったのでしょうか?

その話の前に、ちょっとした個人的な背景から始めますね。インフィニットループでの仕事のかたわら、私はネット上で自分のプロジェクトも手掛けていて、そのひとつとしてVRChatで3対3のロボットバトルゲームを制作していたんです。

そんな中、私の活動を見つけたGugenkaからTwitter経由で意外なDMが届いたんです。

「VRのゲームを作りませんか?」という内容でした。

実はDMを送ったGugenkaは元々、インフィニットループとバーチャルキャストの取引先の会社だったんですよ。インフィニットループ、バーチャルキャスト、Gugenkaの3社でVRテーマパーク「MIKU LAND」を開発していました。

ーーGugenkaはMさんがインフィニットループに所属しているのは知っていたんですか?

いえ、知らなかったようなんです。どうやらGugenkaは私がインフィニットループに所属しているとは知らずに、私個人の活動を見て、DMを送ったようなんですよね。

ーーそうなんですか!それは驚く話ですね……!

驚きました。非常に嬉しい依頼でしたが、Gugenkaからのプロジェクトは個人で対応するには大きすぎたんです。ですので、これは会社で案件を受けたいと考え、社内で話を進めた結果、会社から「OK」をもらえたんです。Gugenkaもまた、私がインフィニットループに所属していると知り、驚いていました。

その結果、インフィニットループとしてGugenakaの案件を受託でき、私は専任担当者として、会社のサポートを受けながら、QuantanoIDを開発することになりました。

この出来事はレアケースで、自分でもかなり幸運だと思ってます。

開発に使用しているMeta Quest2
開発に使用しているMeta Quest2

個人活動が背中を押し、会社員からフリーランスに

前職ではどのような仕事をしていましたか?

ゲームの3Dモデル制作から、ゲームの移植、フィギュア制作など多種多様な仕事をしました。しかし激務すぎる会社で私には合わず、早々に退職しました。

ーーそれは大変でしたね。その後はどうされましたか?

そこで、自分の進む道として、フリーランス(個人事業主)の道を選ぶことに決めました。

ーーフリーランスですか!かなり勇気が必要な決断だったのではないでしょうか?

確かに、通常なら相当な勇気のいる選択ですよね。でも、もともと会社とは別で手掛けていた個人活動が、この大きな一歩を踏み出す勇気を与えてくれたんです。

ーーどのような活動をしていたんですか?

VRChat等で利用できる3Dモデルを制作し、販売していました。幸運なことに、前職の会社を辞める時期あたりで、VRChat等をはじめとしたVRSNSやアバター文化が盛り上がり始めていて、ありがたいことに手に取っていただける方も多く、生活できる程度の売上が出ていました。

その状況もあって、転職活動するよりはフリーランスで生きていくのも面白いんじゃないのかなと思い、個人事業主として活動することにしました。

フリーランスの時に取引先より作って頂いた3Dプリントのサンプル品
フリーランスの時に取引先より作って頂いた3Dプリントのサンプル品

個人事業主から会社員になった理由

その活動が後にGugenakaからの連絡に繋がってくるのですね。個人事業主としての活動期間としてはどれぐらいでしたか?

約3年です。その後、インフィニットループに入社しました。

ーー個人事業主から会社員への転換は一風変わった道のりですね。そのような選択をしたのはなぜでしょうか?

そうですね、2つの理由があります。

1つ目は安定が欲しくなりました。3Dモデル販売の売上も時期によって、かなりバラツキがあり、毎月の収入も安定しません。また継続した取引先もなかったため、個人事業主は不安定な立場でした。

2つ目は今よりも大きいことをしてみたい気持ちもありました。個人事業主では販売やプロモーション、マーケティングをすべて自分でしないといけません。しかし個人の力では、手の届く範囲にどうしても限界があります。「今よりももっと大きいことをしてみたいな」と思い、会社で自分の力を活かしたくなりました。

QuantanoIDプロジェクトがその明確な例です。フリーランスとしてその規模のプロジェクトを扱うことは、リスクが伴います。しかしインフィニットループの支援を受けることで、安心して大きな仕事に取り組むことができています。多くの人がフリーランスの自由を理想としますが、私にとっては、会社員としての安定した環境が新たなチャレンジへのステップです。

「札幌でVRの仕事をしたい」と選んだインフィニットループ

数あるIT会社の中から、どうしてインフィニットループを選んだのでしょうか?

上京していたものの、部屋の契約更新時に「東京に留まる必要がないのに、高い家賃で住み続けるのは意味がないかも」と思ったのですよね。特にネットでの3Dモデル販売で生計を立てられたので、東京に固執する理由が薄れていたんです。

そこでゲーム会社が豊富にあり、友人が住んでいた札幌に引っ越しました。

それから転職を模索する中で、札幌でVRの仕事ができる会社を探し、インフィニットループを見つけました。たまたまですが、家からの立地も良かったんですよね。それも運命的なものを感じました。

ーー入社前はインフィニットループにどのような印象をお持ちでしたか?

第一印象は「ゆるい会社」ですね。「うまい棒食べ放題」であったり、普通の会社ではない「変な会社」という印象はありましたね。

ーー入社後に印象は変わりましたか?

印象のとおりでした笑 想像以上に不思議で変な会社。以前は比較的固めな職場でしたので、よりギャップがありましたね。

デザイナー同士でゆるい繋がりがある

仕事の疲れを癒すぬいぐるみたち
仕事の疲れを癒すぬいぐるみたち

インフィニットループに入社して働きやすい点はどこですか?

実務で最も影響があるのはフレックスタイム制度ですね。午前8時から11時の間で自分にあった出社時間を選べるのは朝がすごく弱い私にとって、ありがたい制度です。

ーーリモートワーク制度は利用されていますか?

ほとんどリモートで仕事をしていまして、フリーランスの時とほぼ同じ働き方ができるのはとてもありがたいですね。週一の出社時は気分転換にもなりますし、冷暖房が効き、飲み放題の自動販売機があり、会社に来るメリットも多いなと感じます。出社時の福利厚生が整っているので、実は出社したほうが得かもしれませんね笑

ーーリモートワークでコミュニケーションが不足することはありませんか?

会社内のコミュニケーションが不足することはないですね。リモートワークをしている方が多いのですが、交流の少なさを補う制度が充実している印象があります。

例えばインフィニットループには年に4回まで会社から食事会の補助が出る「チーム食事会サポート制度」があり、よく活用していますよ。

他にも、デザイナー間で業務を越えたゆるい繋がりがあるんですよね。デザイナーチームのSlackで困りごとを書くと、すぐアドバイスが飛んできます。他にも週一回、情報共有をするオンライン定例会をしたり、ゲームのテストプレイなどをしています。

ーーインフィニットループに向いているデザイナーとは、どのような方だと考えていますか?

インフィニットループはエンジニアが多い会社なため、デザイナーの人数は全体で見れば少ない方ですので「何でもできる」スキルを持つ方は重宝されます。

インフィニットループはVRに力を入れている会社ということもあり、多様な種類の作業を依頼されるので、3Dデザイナーは「2Dがちょっとできるよ」や「プログラミングがちょっとできるよ」のような守備範囲が広い方は喜ばれると思います。他のデザイナーの皆さん知識豊富なので、いつも助かっています。

好きなものを作る。人に楽しんでもらうためにスキルを磨く

XRは今後、どのようになっていきますか?

MetaQuest2まではまだ現実との境界がはっきりしており、完全なVR体験に限定されていました。しかし最新のMetaQuest3では、ヘッドセットを通じて外界を取り込み、周囲の景色をクリアに映し出すことが可能になりました。Metaが推進するこの一体型のシステムに適応したアプリが今後ますます増えていくことでしょう。

現実的に、大きなヘッドセットを日常的に使用することには限界があります。そのため、将来的にはメガネのような軽量デバイス、さらにはコンタクトレンズのようにより手軽な形態へと進化していくことを想像しています。私たちはその時代の到来に備え、アプリの開発を進めています。

例えば、iPhoneが初めて登場した時はすでに対応アプリがいっぱいありました。なぜかというと、前身のiPod touchでアプリ市場が始まっていたんですよね。そのような状況がXRでも起きるんじゃないかと考えています。

手放せないELECOMマウス。3DCG作成時に使用するサイドのロックボタンを愛用
手放せないELECOMマウス。3DCG作成時に使用するサイドのロックボタンを愛用
ーーMさんのような仕事に憧れる方が多いと思います。Mさんのような仕事ができるようになるためのアドバイスをお願いします。

私は今、自由な環境で開発でき、多くの人にとって羨望の的かもしれません。しかし、私も就職には一苦労しました。だからこそ、具体的な就職のアドバイスをするのは難しいですが、ただ言えるのは、好きなものを作るのがいいんじゃないかと思いますね。

趣味で人に楽しんでもらえるような好きなものを作ったら、さらに素晴らしい体験を提供するために、より良く改善する必要があります。そのためにはスキルを磨く必要がありますよね。

今の時代はSNSで評判になったら、どこかから声がかかるかもしれない。私自身がそうでした。実績になるし、キャリアに繋がるかもしれない。そういう時代でもあるので、とにかく「人に喜んでいただけるものを作る」というのが良いと思いますね。

ーー3DCGデザイナーとしての今後の展望を教えてください。

現在のゲーム制作を成功に導き、今後もさらに多くのゲーム開発に取り組んでいきたいと考えています。

ーープライベートを含めて、今後やってみたいことはなんですか?

ゲームを作りたいなと思っています。

ーーゲームを作ることが一番お好きなんですね!

はい!趣味で制作しているゲームもあります。良い感じになったら、インフィニットループでパブリッシングしてもらえたら嬉しいですね!

一日の仕事の流れ例

10:00出社
メール、Slackのログ確認
10:30作業(今の作業は基本的にはUnityとMetaQuest2での開発)
MTGがある日はMTG
12:30社内MTG(進捗報告、連絡事項などあれば)
13:00昼食
14:00作業
15:00デザイナー定例(月一を目安にデザイナー勉強会になる日も)
15:30作業
19:00退社

会社や近くのお気に入りポイント

映画館
札幌本社があるサッポロファクトリーのユナイテッド・シネマ。表現と演出の勉強になる映画鑑賞は3DCGデザイナーとしての大切なインプットになります。
雑誌コーナー
社内には書籍や雑誌が読めるコーナーがあります。お気に入りの雑誌はゲーム・映像業界の技術を紹介する「CGWORLD」。3DCGデザイナーには必読の雑誌。