GさんProfile
入社年 | 2018年 |
デザイナー歴 | 約6年 |
前職の業界 | 機械系重機設計会社 |
使用言語・使用技術 | Lua/Python/C# |
現在の職種 | 3Dテクニカルデザイナー |
拠点 | 札幌 |
出身 | 宮城県仙台市 |
部活動 | ボードゲーム部・漫画部・工作部 |
3Dテクニカルデザイナーが切り開くVRの新境地
仕事内容について教えてください。
3Dモデリングを主な仕事としている「3Dデザイナー」です。一般的な3Dデザイナーはプログラミングをしませんが、私はプログラミングスキルも持ち合わせており、モデリングに加えて実装作業も行うことがあります。そのため「3Dテクニカルデザイナー」という職種を名乗っています。
モデリング以外にも仕事の範囲は多岐にわたります。ゲームやイベントの企画から設計の提案、プランニングなどの経験があります。一例を上げると、VRイベント「ミクランド」の企画やコンテンツ制作を担当しました。多様な業務に携わるため、私はスタートアップ向きだなと思いますね(笑)
弊社に入社してから6年間は、主に「バーチャルキャスト」の立ち上げに注力してきました。最近はその業務が一段落したことから、コンシューマ向けの開発にも力を入れています。
ーーこれまでで印象に残った仕事はなんですか?
「ミクランド」でモーションキャプチャー技術を活用し、VR空間でのショー体験を実現した仕事ですね。お化け屋敷やライドコンテンツのような多様な体験をユーザーに提供しました。企画から実現までの過程は大変充実していましたね。
ーーライドコンテンツとはなんですか?
遊園地の乗り物のように、ユーザーがバーチャルキャスト内の乗り物に”乗車”できるコンテンツで、「ミクランド」内を巡る体験を提供しました。乗り物は実際に動いていないものの、移動する景色を通じて、乗り物に乗っている錯覚を生み出します。ユーザーは物理的には動かず、バーチャルリアリティ技術により動いている感覚を体験します。技術的な制約がある中で、このようなリアルな体験を実現したことは、大きな成功でした。
札幌への引っ越しとバーチャルキャスト開発、新たな挑戦の始まり
インフィニットループに応募したきっかけを教えてください。
前職を退職し、地元の仙台で新たな仕事を探していたところ、友人がインフィニットループを推薦してくれました。Webサイトから「どうやらゲーム制作をしている」と知って、興味を持ち応募しました。
最初に希望したのはデザイン系の職種だったんです。
ーーでは最初は仙台オフィスで、デザイナーでの就職でしたか?
実はそうではありません。ちょうどその頃、インフィニットループで「バーチャルキャスト」の開発が始まったばかりで、札幌本社ではプロジェクトメンバーを募集していました。この機会に飛びつき、札幌への引っ越しを決めました。
ーー札幌に引っ越し!? 抵抗はなかったですか?
抵抗はほとんどありませんでした。札幌が都会であることは聞いていたので、楽しみにしていました(笑)。
ーー雪は大丈夫でしたか?
札幌の雪は全く問題ありませんでしたよ。地元が仙台なのと、大学時代を過ごした山形の方が雪が多かったんです(笑)
ーー前職は機械の設計の仕事に従事され、二社目のインフィニットループがIT会社になります。転職に不安はありませんでしたか?
独学での勉強が中心だったため、基礎知識やIT業界のノウハウに欠ける部分が多々ありました。そのため、入社後には日々新たな発見や気付きがあり、大変刺激的でした。
ーーどういう発見がありましたか?
特にバージョン管理の概念には目から鱗で「こんな便利な方法があったのか!」と感動しました。また、電子工作のRaspberry Piやマイコンについても全く知識がなく、オープンソースカンファレンス(OSC)を通じて、存在を知ったんです。「非常に面白い世界があるものだ」と感じ、独学で探求を深めていきました。わからないことがあっても、質問すれば丁寧に教えてくれる文化がありましたので、非常に心強かったですね。
これから3Dデザインを始めたい人はぜひBlenderを
転職活動時は他の会社も検討したと思います。インフィニットループを選んだ理由を教えてください。
仙台での応募先のゲーム開発会社がMayaの使用を必須としていましたが、私の経験はBlenderに限られていました。インフィニットループはBlenderの使用者でも受け入れてくれたんです。これが私がインフィニットループを選んだ大きな理由の一つです。
ーーなるほど。では入社してBlenderを教わることもあったんですね。
実は、入社時にインフィニットループでBlenderを使用している人はおらず、3Dデザイナーの先輩たちはMayaを使っていました。
入社後、Blenderを業務に取り入れるため、独学で深く掘り下げました。当時(※2018年頃)、Blenderに関する技術書はほとんどなく、海外のリファレンスを探し求める日々でした。
今ではBlenderはより一般的になり、入門書も豊富に揃っています。現在では小中学生もBlenderを使っているほどです。3Dモデリングに興味がある方には、Blenderの学習をお勧めします。
ーーBlenderの他には、どのような言語やツールを使用されていますか?
私は主にLua、Python、C#の言語を用いています。これまではUnityが中心でしたが、最近はUnreal Engineのような、まだ経験のないゲームエンジンにも手を出しています。
Blenderの他に使用するツールはUnity、Zbrush、Adobe Substance 3D Painter、Photoshopなどがあります。
ーー前職の経験が今に活きていることはありますか?
3Dモデリングを行う際、機械の構造や部品同士の関係性に関する私の前職での知見が非常に役立っています。以前は実際の機械設計において材料の強度などの物理的制約を考慮する必要がありましたが、3Dモデリングではそのような制限がなく、想像力のままにクリエイティブな作品を生み出せる点が、この分野の大きな魅力の一つです。
ーーこれから3Dデザイナーを目指す方に対してアドバイスはありますか?
3Dデザインの入門障壁は下がりましたが、求められるクオリティは高くなっています。最新のトレンドを追いながら、商業作品と肩を並べるビジュアルを作ることが大切です。特に学生の方には、半年から1年は集中して学習することを推奨します。
一人開発からチームでの創作。変化するクリエイティブの形
3Dテクニカルデザイナーやプログラミングに必要な技術はどこで学ばれましたか?
学生時代からプログラミングに取り組んでおり、独学でスキルを身につけました。趣味でゲーム開発に没頭し、実際にいくつかのアプリをiPhoneとAndroidでリリースしています。
ーーそれは素晴らしいですね!フリーランスとして活動する選択肢もあったのでは?
自作のゲームリリースを実際に経験し、多くの難しさを感じました。
ーーどのような難しさがありましたか?
当初は「リリースがゴール」と考えていましたが、実際はそうではありません。リリース後にはスマートフォンのOSのアップデート対応、保守、広報、顧客サポートなど、多岐にわたる作業が必要で、これらを一人でこなすのは非常に困難でした。そのため、趣味としてゲーム開発を続けつつ、安定した環境で専念できる会社員としての道を選択しました。
ーーどのようなゲームを制作しましたか?
「デブリウム」という名の落ち物パズルゲームをiPhoneとAndroidで制作しました。完璧とは言えない出来でしたが、最近ではボードゲーム版のデブリウムをリメイクし、近いうちに個人的活動として、リリース予定です。ボードゲームであれば、OSのバージョンなどにふりまわされることもないですからね(笑) パッケージングされた完成品としての満足感も気に入っていますよ。
ボードゲームの「デブリウム」はゲームマーケット2024春に出展する予定です。気になる方はぜひ見に来てほしいですね!
尖っている人が、多い。まとまりがないのが、面白い
インフィニットループでの仕事のやりがいを感じる時を教えてください。
私が特にやりがいを感じるのは、社内からのフィードバックが活発な点です。プロジェクトが機密でない限り、進行中の作業を社内Slackで共有すると、ポジティブなリアクションが得られることが多く、それがとても励みになります。そのリアクションをもとにプロジェクトの方向性を調整することもあるので、スムーズに仕事を進めることができます。
ーーインフィニットループにはどんな人がいますか?
一般的には同じ業界の人々は似通った傾向を持ちがちですが、インフィニットループには一人ひとり尖っている人が多い印象ですね。エコーチェンバー現象(※)がほとんど見られず、多様な意見や視点が尊重されるため、マンネリ化することがありません。
(※エコーチェンバー現象とは「自分と似た意見や思想を持った人々が集まる場にて、自分の意見や思想が肯定されることで、それらが正解であるかのごとく勘違いする、又は価値観の似た者同士で交流・共感し合うことにより、特定の意見や思想が増幅する現象。」Wikipediaより引用)
ーー時々意見の衝突はありませんか?
確かに時々意見がぶつかることはありますが、「それぞれの個性だから」という理解のもと、お互いに尊重し合っています。そうしたやりとりも含めて、職場の雰囲気を楽しんでいます。
ーーどういう方がインフィニットループに向いていると思いますか?
「尖っている人」に最適な場所だと感じます。多岐にわたるスキルを持ち、一般的ではない独自のこだわりを追求する人たちが、この会社で特に活躍できると思います。ただし、分業体制が固定されていないため、一つの分野のみに特化したスキルを持つ人よりも、広範囲な能力を有する人が求められます。ただ、これはあくまでデザイナーとしての意見です。プログラマの方はまた別の意見があるかもしれません。
デザイナーであってもある程度、プログラミングができる人は重宝されると思います。実際、少しでもプログラミングを理解しているほうがプログラマと円滑なコミュニケーションが進みますので、できたにこしたことはないですね。
さらに、インプットとアウトプットの量が多い人も良いですね。社内ではアイデアや成果を頻繁に共有し、積極的なフィードバックを受ける文化があります。そのため、アウトプットを積極的に行い、インプットを通じて常に新しい知識やスキルを吸収する意欲のある人が、この環境を最大限に活用できると思います。自分の関心事を追求し、例えば作品を作るような人にとって、インフィニットループは刺激的な職場です。
作業速度を早めて、新しい技術的アプローチも試せる
仕事をしていく上で大事にしていることを教えてください。
私が最も重視しているのは納期の遵守です。クオリティを維持しつつ、作業の速度を重要視しています。効率を高めるための方法を常に探求し、時間を最大限に活用しています。作業を早めに完了できれば、技術的に新しいアプローチを試す機会も増えます。
ーー仕事柄、前例のない依頼内容が多いのではないでしょうか。
そうですね、「挑戦してみないと分からない」状況に頻繁に直面します。見積もりを正確に出すのが難しいこともありますが、「見積もりが不可能です」とは言えません。そのため、独自の方法で見積もりを工夫しています。
ーー具体的にどのような方法を取り入れていますか?
依頼された内容を細分化し、それぞれの作業に異なる「解像度」を設定しています。全てが未知の技術領域であるわけではないので、各作業を「ざっくりできるレベル」「もうちょっといい感じにできるレベル」「クオリティを詰めるレベル」の三段階に分けて進めます。
この方法により、依頼者との間で納期と品質のバランスを取りながらプロジェクトを進行できます。このアプローチで、前例のない依頼であっても、見積もりを提出し、納期内に仕事を完遂できるよう努めています。
部活動制度を通じて促進される社内コミュニケーション
好きな社内制度はありますか?
部活動制度が私のお気に入りです。現在、ボードゲーム部、漫画部、工作部の3つに参加しており、特にボードゲーム部をメインに活動しています。
会社からの部費でボードゲームやマーダーミステリーゲームを購入しています。インフィニットループの札幌オフィスがあるサッポロファクトリーには「おもちゃのヨシダ札幌店大空」があります。ボードゲームをやりたくなったら、すぐ購入できるので、非常に便利です(笑)
ーー社内の繋がりが仕事に良い影響を与えたことはありますか?
はい、あります。入社当初、バーチャルキャスト関連の仕事でサーバー担当のインフラエンジニアと仕事をしていたことがありました。当初は業務上の関係でしたが、ボードゲームを通じて親交を深め、その後は彼のいるインフラエンジニアチームの飲み会に混ざったことがありました。私以外はインフラエンジニアばかりの飲み会です(笑)
なかなか勇気がいりましたが、その経験が後に役立ち、イベント時にサーバー調整の支援を受けることができました。異なる専門分野の人々との繋がりが、仕事においても有益な影響をもたらしています。
部活動を通じて、異なる分野の同僚とも交流できるので、コミュニケーションが苦手な私にとっては、非常に重宝しています。私はコミュニケーションが苦手なのですが、ワチャワチャしているイベントが好きなんですよね。面倒くさい性格ですよね(笑)
ーーそんなことないと思いますよ(笑)
入社まもない頃はデザインチームのような概念がなく、3Dデザイナーはポツンと浮いた状態だったので、社内のいろんなところを回っていましたよ(笑)
「プログラマはデザイナーが何やっているのかよくわからない」という考えは正直あると思います。逆も言えますね。異なる職種が話す時間を増やすことによって、少しでもお互い理解を深められたら良いと考えています。
ーー入社して良かったことはなんですか?
インフィニットループに入社して一番良かったのは、自分が知らなかった分野やスキルに触れる機会が増えたことです。業務を通じての学びはもちろん、プライベートでも新しい趣味に目覚めるきっかけがありました。
自転車にはまったく興味のなかった私が、最近では休日にロードバイクに乗るんですよ。これはアウトドア活動が得意な同僚の影響です。今では道東や道南をロードバイクで巡るのが楽しみでなりません。すっかり北海道を満喫しています。自分でもこんなにアクティブになるとは思っていませんでした。とても健康になりました(笑)
数学に強い人と魅力的なコンテンツを作りたい
今後、社内で取り組んでみたいプロジェクトを教えてください。
これまでVRに携わってきましたが、MRの分野でも革新的なプロジェクトに挑戦してみたいです。
ーーどういう人と一緒に働いてみたいでしょうか?
数学に強い人と共にクリエイティブな作品を制作してみたいですね。ビジュアルエフェクトやシェーダーの開発、さらにはグラフィックスの構築において、数学的な計算が非常に重要になります。
3Dテクニカルデザイナーの仕事は、プログラミングスキルもデザインセンスも求められるため、プログラマと似た側面があります。数学を得意とすることで、より高度なテクニカルデザインが可能になると考えています。
ーー3Dテクニカルデザイナーとして、どのような理想像を目指していますか?
デザインチームを立ち上げて以来、我々の3D開発力は飛躍的に向上しました。その経験から、「自分が直接3Dを制作しなくてもいいのでは」という気持ちに若干なっています(笑)。といいますのは……私は魅力的なコンテンツさえ作れれば良く、自分の手で作らなくても良いと思っているんですよね。
私はプログラミングそのものよりも、何かを「作りたい」という強い動機があります。3Dモデリングや絵を描くことも、すべては魅力的なコンテンツを生み出すための手段です。完成したコンテンツがあれば、その制作過程は誰が行っても良いと考えているためです。
今後はディレクション、プランニング、マネジメントの能力を高め、自分が最も効果的に貢献できる形で理想のコンテンツを作り上げたいと思っています。
一日の仕事の流れ例(通常時)
11:00 | 出社 |
14 : 00 | 昼休憩 |
15:00 | 午後スタート |
20:00 | 退社 |
一日の仕事の流れ例(金曜日)
20:00 | 部活(無限ボードゲーム編) |
06 : 00 | 退社 |